地質調査
GEOLOGICAL SURVEYING
BORING SURVEYボーリング調査
- ボーリング調査の目的
- ボーリングによる成果は、地質の構成や基盤層の厚さなどを調べることに留まりません。室内土質試験のための乱れの少ない試料を得るためのサンプリング、ボーリング孔を利用する原位置試験やサウンディングを同時に実施できるという付加価値もあります。また、種々の計器をボーリング孔に埋設し、様々な計測に役立てることもできます。
- ボーリング調査の流れ
- 作業計画準備作業掘進作業孔内測定作業撤去作業
- ボーリングマシンを運転し、精確に掘進するための技術も必要ですが、様々な試験や計器に対応するための知識と経験も重要になります。運搬や仮設、調査地点が山地や傾斜地であれば、モノレールや索道(ケーブルクレーン)の準備、使用する水量を確保しておくことも重要です。
- ボーリング調査の種類
- 実際の掘進にあたっては、現地の土質や岩盤によって、また求められる試料の質によって掘進の難易度やスピードが変わります。 コア(ボーリングによって採取できる棒状の試料)を求められるオールコアボーリング、求められないノンコアボーリングという違いもあります。その他、地下水位の高低・掘進方向・掘進口径・孔壁保護のためのケーシングの有無等の要素も、ボーリング調査に影響があります。
IN SITU EXPERIMENT原位置試験
- 標準貫入試験
- ある地点における地盤の硬軟・締まり具合・土層の構成を判定するための【N値】を求めるとともに、試料採取を目的として実施されます。試験は深度1m毎に実施されます。構造物等の設計のためのボーリング調査では、必ずなされている調査であり、【N値】測定と試料観察の両方を満たす、地質調査の代表的な試験です。【N値】をもとに他の工学的性質との関連が数多く検討されており、地盤の性状に関するほとんどの事項が【N値】と関係づけられています。
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主な手順
- 標準貫入試験用サンプラーをボーリングロッドに接続し、測定位置(孔底)まで静かに降ろす。
- ボーリングロッド上部に63.5kgのドライブハンマー(モンケン)を取り付ける。
- 鉛直性の確保と振動によるぶれを防止した上で、ドライブハンマーを76cm(±1cm)の高さから自然落下させて、孔底地盤中に打ち込む。(打ち込む前に自沈することもある)
- 打撃回数は50回を限度とし(特に必要のない場合)、そのときの累計貫入量を測定する。
- 打撃による打ち込みの回数を【N値】として記録するのとともに、標準貫入試験用サンプラーにより採取した試料の観察を行い、代表的な試料を容器に入れ保存する。
- 孔内水平載荷試験
- ボーリング孔を利用して地盤の変形特性・強度特性を求めることを目的として実施します。試験結果は基礎や地盤の解析に有効に利用されます。特に杭基礎、土留め壁や地盤の変形解析によく利用されています。適応地盤によって試験装置が異なり、土質地盤では主にL.L.T(Lateral Load Tester)を、岩盤では主にエラストメーターを使用して調査します。どちらも、測定管であるゾンデを孔内に挿入し、それを膨らませることで孔壁面を加圧し、その圧力と変位量を測定します。
- 現場透水試験
- 地盤ごとの透水性を把握するために、主として砂質地盤で実施される試験です。試験による透水係数は地下掘削に際しての湧水量・水位低下量の概略算定などに用いられます。主な試験方法には、オーガー法・ケーシング法・パッカー法などがあり、調査目的のほか、調査地の地層条件・地下水条件・深度の違いなどによって揚水・注水を行います。
GEOPHYSICAL PROSPECTING物理探査・検層
- 弾性波探査
- 地表のある場所で人工的に発生させた弾性波(地震波)が、地表に並べた受振器に到達するまでの時間を計測し、地盤中の伝播速度を解析する探査法です。主に、トンネル・ダム・地すべりなど多方面の調査に用いられます。測線を格子状に設定することにより面的な情報を広範囲で把握することが可能であり、設計の初期段階から適用されることが多いです。弾性波の伝播を光の反射・屈折としてとらえ、その起振点から受振点に到達するまでの時間(走時)を解析することで、地層構成や地盤の状況を推定します。弾性波を人工的に発生させる方法としては、火薬類の発破を利用することが多くあります。ボーリング調査等と併用することで推定精度の向上が可能となります。
- PS検層
- ボーリング孔を利用し、周辺地層の物理的性質を深さ方向の分布で把握するもので、基盤面判定の際に多く用いる調査法です。名前にもある通り、地震波としても用いられている「P波(縦波)」「S波(横波)」の伝播速度の違いを利用します。人工的に振動を発生させ、受振器で測定した波動の走時の差を読み取って区間速度を算出します。その区間速度から、構造物等の設計に必要とされる「ポアソン比」「剛性率」「ヤング比」等が求められます。弾性波探査に比べ、局地的に調査することが可能です。また、ボーリング孔を利用して測定をすることで、精確かつピンポイントに調査することができるのが大きな特徴です。 上記のほかに、地下水面、地すべり面などの検討に用いられる「電気探査」、地中の空洞や埋設物を調査する「地中レーダー」、構造物の基礎や不発弾等を調査する「磁気探査」などがあります。